競馬の世界に足を踏み入れた初心者が最初につまずきやすいのが、馬の性別を表す専門用語の読み方です。牝馬の正しい読み方は「ひんば」(訓読みでは「めうま」)であり、生物学的なメスの馬を指します。日常会話で使う「雌(めす)」という言葉が、競馬の公認ルールや血統登録において「牝」の字で統一されているためです。
対するオスの競走馬は牡馬(ぼば / おすうま)と呼ばれます。競走馬は基本的にこの「牡馬」と「牝馬」に大別されますが、出馬表を見ているともう一つの性別表記である騸馬(せんば)を目にすることがあります。騸馬とは、気性の激しさや集中力の欠如を解消する目的で去勢手術を施されたオスの馬です。ヨーロッパや香港では一般的な調教手段として広く定着していますが、日本でも気性を改善して競走生命を延ばすために選択されるケースが増加しています。
競走馬の性別区分における最大の違いは、出走可能なレースの範囲と引退後の進路にあります。牡馬と牝馬はそれぞれ限定レースが存在するだけでなく、引退後に種牡馬(種付けを行うオス)や繁殖牝馬(仔馬を産むメス)として血統を残す役割が与えられます。しかし、騸馬は子孫を残す生殖能力を失っているため、原則として繁殖価値を審査する舞台である「クラシック競走(皐月賞・日本ダービー・菊花賞など)」への出走権が認められていません。