原作第401話および最終第402話で描かれた烏野高校排球部OBたちの進路において、最もファンを納得させ、同時に深い感慨を与えたのが菅原孝支の現在です。高校卒業後、大学へ進学して教員免許を取得した彼は、2018年時点で宮城県内の小学校教諭として勤務しています。
物語終盤、2021年の東京オリンピック男子バレーボール競技では、自慢の教え子である小学生たちを引き連れ、テレビの前で元チームメイトの影山飛雄や日向翔陽、さらにはアルゼンチン代表となった及川徹らの勇姿を熱烈に応援する姿が描写されました。胸元にホイッスルを提げ、子どもたちと同じ目線で声を張り上げるその佇まいは、まさに読者が思い描いていた「スガ先生」そのものでした。
彼が一般企業や実業団バレーではなく小学校教師というキャリアを選択した背景には、烏野高校副主将として培った類まれな資質が存在します。高校時代、菅原はスランプに陥りかけたエース・東峰旭の心に寄り添い、独善的になりがちだった影山飛雄のコミュニケーションの癖を見抜き、的確なアドバイスで成長を後押ししました。個々の心理状態を鋭く察知し、受容と肯定をベースにしながら相手の自主性を引き出す手腕は、初等教育における生徒指導の根幹と完全に合致します。自らのエゴを押し通すのではなく、「誰かの可能性を開花させることに純粋な喜びを見出す」という彼の人生哲学が結実した進路選択であったと分析できます。