山岸一雄が亡くなった直後の2015年秋、大勝軒ファミリーは全国的な注目を集める分裂騒動に突入しました。100人を超える直弟子たちが、二代目店主・飯野敏彦氏が率いる「大勝軒のれん会」と、古参の弟子たちが中心となって結成した「大勝軒 味と心を守る会」の2つの会派に二分されたのです。
この分裂劇の本質は、単なる感情的な喧嘩ではなく、「暖簾(ブランド)の継承方法」と「商業化に対するスタンスの違い」にありました。
- 大勝軒のれん会側(二代目を支持):「東池袋大勝軒」の本店看板を守り、山岸の遺志を受け継ぐ直系組織として、チェーン展開やライセンス管理を近代的に整えることを重視。
- 味と心を守る会側(古参弟子を中心):「山岸マスターの教えは暖簾代を取らず、各店舗が独立して味を追求すること」「商業主義に走りすぎ、生前の山岸の理念が歪められている」と主張。
騒動の最中には、山岸が生前に遺したとされる「遺言書」や「覚書」の有効性を巡って週刊誌やテレビのワイドショーで激しい応酬が繰り広げられました。公の場で見せた弟子同士の泥沼の対立は、多くのファンに失望を与えましたが、根底にあったのは双方が信じる「師匠・山岸一雄への敬愛の形の食い違い」だったと言えます。