検索窓に「水前寺 公園」と入力すると、今なおサジェストに現れる「池 干上がる」「水がない」という不穏な言葉。この噂の発端は、2016年4月に発生した熊本地震にあります。本震の直後、庭園中央に広がる約1万平方メートルの湧水池から急速に水が抜け、全体の約8割に及ぶ湖底の泥や岩肌が露出するという前代未聞の事態が発生しました。当時の痛々しい現場写真は国内外のメディアで大きく報道され、人々に強烈な視覚的ショックを残したのです。
取材班が地質関係者や当時の記録を検証したところ、池の水が抜けた主因は、活断層のズレによって地下水脈のルートが一時的に変化したこと、および地盤の揺れで庭園直下の透水層に亀裂が生じ、地下水が別の方角へ逃げ出したことにありました。一部では「阿蘇の恵みである名水が永久に途絶えたのではないか」と絶望的な観測すら囁かれました。
しかし、名園は死に絶えていませんでした。水前寺公園湧水復活の理由は、阿蘇山麓から熊本平野へと注ぎ込む地下水システムの圧倒的な涵養力にあります。熊本の地下には約20年の歳月をかけて岩盤で磨かれた膨大な地下水が流れており、梅雨期の降雨や阿蘇外輪山からの持続的な水圧によって、地震で乱れた水みちが数ヶ月かけて再充填されました。熊本市による観測データでも、地下水位の上昇とともに池の底から新たな清流が勢いよく自噴し始めたことが確認されています。
水前寺公園現在の様子は、かつての危機が嘘のように潤いに満ちています。池の底までくっきりと見通せる透明度を誇り、元気に泳ぎ回る錦鯉や飛来する野鳥の姿を間近に観察できます。「干上がっている」という噂は完全に過去の出来事であり、現在は本来の瑞々しい景観を心ゆくまで堪能できる状態にあります。