『なつぞら』の物語構造は、大きく分けて大自然の中で家族の絆を育む「北海道・十勝編」と、日本アニメの黎明期を駆け抜ける「東京・アニメーション編」の二層で構築されています。このダイナミックな舞台転換を成立させたのが、細部まで計算された人間関係の相関図でした。
物語の起点となるなつぞら 北海道十勝編キャストにおいて、孤児となったなつを厳しくも温かく迎えるなつぞら 柴田家キャストは、まさに日本のホームドラマの真骨頂といえるアンサンブルを見せました。頑固一徹だが開拓者精神を誰よりも理解する祖父・泰樹役の草刈正雄、母性あふれる包容力でなつを包む育ての母・富士子役の松嶋菜々子、そして不器用ながら深い愛情を注ぐ父・剛男役の藤木直人のトライアングルは、血縁を超えた家族の絆を見事に具現化しました。柴田家の長男・照男を演じた清原翔、長女・夕見子を演じた福地桃子ら若手の好演も、開拓の地に息づくリアリティを倍増させました。
一方、舞台が東京へ移る後半を担うなつぞら アニメーション編登場人物は、クリエイターたちの熾烈な才能のぶつかり合いを描き出しました。東洋動画のリーダー的存在である仲努役の井浦新、並外れた作画センスと情熱を持つ神地航也役の染谷将太、なつの先輩アニメーター・森田桃代役の伊原六花、制作現場を支える個性派プロデューサー陣など、一筋縄ではいかない演技巧者が集結。そしてなつの生涯のパートナーとなる監督志望の青年・坂場一久役を中川大志が熱演し、仕事と家庭を両立する近代的な男女関係を提示しました。