こうしたブームの過熱と飼養放棄のリスクに対し、行政も動きを強めている。環境省が主導する動物愛護管理法の改正に伴い、マイクロチップの装着義務化や、ブリーダーに対する生涯出産回数・飼育施設基準の数値規制が段階的に厳格化されてきた。無理な繁殖スケジュールを強いられてきた母犬を守るための法整備は、業界全体の淘汰と健全化を促しつつある。
一般社団法人ペットフード協会の全国調査が示すように、犬の飼育頭数全体が横ばい傾向を維持する一方で、一頭にかける医療費やフード関連支出は年々上昇を続けている。ペットを単なる癒やしの消費財ではなく、家族の一員として終生飼養する責任の重さが法と数字の両面から浮き彫りになっているのだ。流行の犬種を所有することのステータスから、適切なウェルフェア(動物福祉)を提供する責任へ、社会の眼差しは確実にシフトしている。