大作ゆえに未読の方に向けて、原作全5巻の構成と、実話のその後の結末を整理します。
原作小説の構成とあらすじ
- アフリカ篇(上・下):労組委員長として安全を守るために闘った恩地元が、会社から見せしめとしてパキスタン、イラン、ケニアへと不当に左遷される。灼熱の大地で孤独と闘いながら、家族の絆と矜持を守り抜く。
- 御巣鷹山篇(上・下):日本に帰任した直後、ジャンボ機墜落事故が発生。恩地は遺族係として身元確認の修羅場に身を投じる。組織の欺瞞に絶望しながらも、犠牲者と遺族に寄り添い続ける。
- 会長室篇:内閣総理大臣の肝いりでカネボウから招聘された国見会長が社内改革に乗り出し、恩地を会長室へ抜擢。旧経営陣や行天らの利権構造と対決するが、政治的圧力に敗北。国見は更迭され、恩地は再びアフリカへの赴任を命じられる。
沈まぬ太陽 結末ネタバレと現在
小説の結末において、恩地は再び命じられたナイロビへの海外勤務命令を静かに受け入れます。社内の出世レースや権力闘争に固執することなく、巨大なアフリカの大自然へと旅立つ恩地の姿で物語は幕を閉じます。
では、現実の小倉寛太郎氏はどうなったのか。伊藤淳二会長の退任後、小倉氏は社内での居場所を失い、1990年に日本航空を定年前に自主退職しました。その後はアフリカ・ケニアに生活の拠点を移し、野生動物の保護活動やアフリカ研究に尽力。エッセイスト・研究者として多くの著作を残し、2002年12月、肺がんのため72歳で逝去されました。晩年の小倉氏を知る人々は、「会社での理不尽な仕打ちを恨む言葉は一切口にせず、常にアフリカの大地と人々の未来に目を輝かせていた」と語っています。
映画とWOWOWドラマの評価比較
本作は2度にわたって映像化され、いずれも高い評価を得ています。
- 映画『沈まぬ太陽』(2009年・東宝):渡辺謙が恩地元を熱演。上映時間3時間22分という超大作ながら、日本アカデミー賞最優秀作品賞・最優秀主演男優賞を受賞。渡辺謙の重厚な演技と、三浦友和演じる行天四郎の冷徹なリアリズムが絶賛されました。
- ドラマ『沈まぬ太陽』(2016年・WOWOW):上川隆也主演、渡部篤郎共演。開局25周年記念として全20話で完全映像化。映画版では時間の都合上カットされた「会長室篇」の政財界の暗闘や、海外ロケの細部まで原作に極めて忠実に再現され、ドラマ史上に残る傑作として現在も配信サービス(U-NEXTやWOWOWオンデマンド等)で高評価を獲得しています。