IAUの2006年決議によって厳密に定められた「太陽系の惑星であるための3つの条件」は、以下の通りです。
1つ目は「太陽の周りを回っていること(恒星の衛星ではないこと)」、2つ目は「十分な質量を持ち、自己重力によってほぼ球形を保っている(静水圧平衡にある)こと」、そして3つ目が「その軌道周辺から他の天体を排除(一掃)していること」です。
冥王星は1つ目と2つ目の条件を完全にクリアしていました。決定打となったのは、3つ目の「軌道周辺の一掃」を満たせなかった点にあります。冥王星が存在する領域は、海王星のさらに外側に広がる「エッジワース・カイパーベルト(カイパーベルト天体群)」と呼ばれる氷小天体の密集エリアです。冥王星はその巨大な群れ団の一部に過ぎず、自身の重力によって周囲の天体を軌道外へ吹き飛ばしたり、合体して取り込んだりするほどの圧倒的な質量を持っていませんでした。
データを見れば一目瞭然です。最小の惑星である水星ですら、自らの軌道周辺にある物質の約9万倍という圧倒的な質量で軌道を支配しています。対して冥王星は、軌道周辺の天体群を合わせた質量のわずか0.07倍に過ぎません。自身の重力圏内に数多の類似天体を従えるどころか、群雄割拠のカイパーベルトの中に埋もれていた物理的事実が、準惑星への格下げを決定づけました。