ネット検索で頻繁に見かける「食べたら数日でハリが出る」といったバストアップ食べ物即効性の真相について、美容外科医や内分泌内科医への取材を行ったところ、全員が一様に「医学的な即効性は100%否定できる」と断言しました。短期間で胸が張ったように感じる現象の多くは、月経前の黄体期に分泌されるプロゲステロン(黄体ホルモン)による一時的な体内浮腫(むくみ)や、単なる皮下脂肪の増加に過ぎません。
ネット上で流布する代表的な俗説の筆頭がキャベツです。キャベツにはミネラルの一種である「ボロン(ホウ素)」が含まれており、これがエストロゲンの血中濃度を高めるという触れ込みで話題になりました。しかし、ボロンキャベツ胸への影響理由を科学的に紐解くと重大な欠落が見えてきます。ボロンは熱に弱く、仮に作用を期待するなら生の状態で毎日キロ単位のキャベツを消費しなければ有意な血中動態の変化は望めません。加えて、ホウ素の過剰摂取は消化器系への負担を招くリスクがあり、キャベツだけを偏食しても乳腺組織が選択的に肥大化するメカニズムは存在しないのです。
もう一つの代表例である豆乳に関しても、同様の誤認が横行しています。大豆に含まれるイソフラボンは、体内で女性ホルモンであるエストロゲンと似た受容体に結合する「植物性エストロゲン」として機能します。しかし、これも「飲めば飲むほど胸が育つ魔法の薬」ではありません。内閣府食品安全委員会の指針によると、大豆イソフラボン効果的な摂取量の上限値は1日あたり70〜75mg(大豆イソフラボンアグリコン換算)と設定されています。これは市販の無調整豆乳(200mlパック)でおよそ1本半から2本分に相当し、サプリメントや特定保健用食品からの上乗せ摂取は1日30mgまでが安全域とされています。これを超える過剰な摂取を続けると、フィードバック機構により自前の女性ホルモン分泌が抑制され、月経周期の乱れや子宮内膜増殖のリスクを招く危険性があります。