「肩が凝るから大きくグルグル回しているのに、余計に奥が痛くなってきた」「整体で『肩甲骨はがし』を受けた直後は良いが、翌日には腕が上がらなくなる」。SNSや知恵袋、健康相談コミュニティには、良かれと思って行ったセルフケアで症状をこじらせたユーザーの切実な声が溢れている。
都内クリニックに勤務する理学療法士は、取材に対して現場のリアルをこう打ち明ける。「患者さんの多くが『固まっているなら動かせばいい』と、肩甲骨を力任せに後ろへ引き寄せて回す体操を行っています。しかし下方回旋症候群の方に対してこれをやらせると、すでに縮こまっている菱形筋や肩甲挙筋をさらにギュッと収縮させ、小胸筋の緊張を増大させてしまう。結果として、肩甲骨はますます下を向いたままガチガチに固まってしまうのです」。
公の場で健康法を語るインストラクターの指導通りに動いたつもりが、実際には「インピンジメントを自分から引き起こす摩擦運動」になっていたという悲劇は後を絶たない。ネット上の断片的な情報に踊らされ、自分の関節がどちらに回旋しているかを確認せずに動かすことは極めてリスキーだ。