顔面という最も目立つ位置に穴を開ける行為は、単なる一時的なファッションにとどまらず、社会生活や身体の健康に少なからず影響を与えます。ジャーナリズムの現場取材や医療関係者へのヒアリングを通じて見えてきた、リップピアスに踏み切るべきか否かの明確な判断基準を提示します。
客観的なリスクを総合的に勘案した結果、「セルフ開けをおすすめできる人」と「慎重になるべき(または病院を選ぶべき)人」の境界線は極めて明確です。
セルフ開けを慎重に判断すべき人の条件
- 歯科矯正中、または過去に重度の歯周病・歯肉炎を患った経験がある人:ピアスの接触によって矯正器具の破損や歯肉退縮が加速度的に進行するリスクがあります。
- 学校や職場で頻繁にピアスの取り外しを求められる環境にいる人:リップのホールが真皮まで完成(上皮化)するには最低でも2〜3ヶ月を要します。初期段階で数時間外しただけでホールは塞がり、無理な再装着は激しい化膿とケロイドの原因になります。
- 血を見るのが極端に苦手で、パニックになりやすい人:ニードルが貫通した状態で手が止まると、出血が止まらなくなったり感染症の温床を作ることになります。
セルフ開けに適応できる(自己完結可能な)人の条件
- 清潔操作の概念を理解し、滅菌されたニードルや器具を妥協なく揃えられる人
- 万が一斜めに開いてしまった場合やトラブルが起きた際に、執着せずに即座にピアスを抜去して医療機関へ相談できる冷静な判断力を持つ人
- 最低1ヶ月間、毎食後のうがいと毎日のシャワー洗浄を徹底できる几帳面なライフスタイルを維持できる人
身体の装飾は自己決定権の行使ですが、その代償として傷跡が一生残る可能性を冷静に天秤にかける姿勢こそが、大人としての成熟したアプローチです。