深夜1時から3時頃、入眠から2〜3時間ほど経過した最も深い眠りの時間帯に突如として発生する激しいパニック。呼びかけにも応じず、焦点の合わない目で泣き叫び続ける子どもの姿に、多くの保護者が「脳の病気ではないか」「昼間の叱り方がトラウマになったのか」と深い動揺を抱きます。しかし、これは精神疾患や心の問題ではなく、小児期特有の生理的現象です。
最大の特徴は、一般的な「夜泣き」や「悪夢」とは状態の発生機序が根本から異なる点にあります。夜泣きは不快感や不安から覚醒して泣くため、抱っこや授乳、あやしによって次第に落ち着きます。一方の夜驚症は、外からの刺激に対して完全に防御・拒絶の姿勢を取り、触れられることすら嫌がって暴れる傾向を示します。
日本睡眠学会や小児神経領域の医学データによると、小児における発症率は約3〜6.5%と報告されています。2歳児の場合、言葉でのコミュニケーションが急速に伸びる一方で感情の制御機能が追いつかない発達段階にあり、脳の睡眠サイクルが切り替わる境界でこの不完全覚醒が生じやすくなります。