塩沼亮潤大阿闍梨の壮絶半生と現在|千日回峰行を成した覚悟の真相

塩沼亮潤大阿闍梨の壮絶半生と現在|千日回峰行を成した覚悟の真相

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塩沼亮潤大阿闍梨の経歴を紐解くと、常軌を逸した求道心の原点は少年期に遡ります。1968年、宮城県仙台市に生まれた塩沼少年は、決して裕福とは言えない家庭環境の中で、母と祖母の愛情を一心に受けて育ちました。転機が訪れたのは中学2年生の初夏。テレビのドキュメンタリー番組で、比叡山延暦寺の千日回峰行を2度満行した名僧・酒井雄哉大阿闍梨の姿を目にした瞬間でした。深夜の山中を黙々と進むその神々しい佇まいに雷打たれるような衝撃を受け、「自分はこの道に進むために生まれてきた」と直感したと自著やインタビューで述懐しています。

高校卒業後の1987年、周囲の反対を押し切って単身奈良へ向かい、修験道の本山である吉野の金峯山寺に入山し出家得度を果たしました。当時19歳の若者が抱いた覚悟を象徴するのが、出立の朝に母から手渡された包みです。そこには現金とともに、1本の真新しい出刃包丁が収められていました。「途中で投げ出して帰ってくるようなら、この包丁で命を絶ちなさい」という、生半可な逃げ道を許さない母の厳格な愛情でした。この厳烈な言葉と覚悟が、のちに遭遇する数々の生命の危機において、足を前に踏み出す絶対的な精神的支柱となったのです。

山崎 陸
著者

山崎 陸

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