ネット上のQ&AサイトやSNSでは、「よく分からなくてバイト先2つとも年末調整を出してしまった」という相談が毎年後を絶ちません。しかし、この安易な重複提出は、数ヶ月後に必ず露見します。
都内の飲食チェーンで労務担当を務める関係者は、現場の実態を次のように明かします。
「年明けの春先、4月から5月頃にかけて税務署から『扶養控除の重複適用について』という是正通知書が会社宛てに届きます。税務署側のマイナンバーおよび支払調書の突合システムは年々精度を増しており、名義と番号が一致すれば一発で重複が検知されます。通知が来ると、企業側は年末調整のやり直しを迫られ、従業員に対して『もう一方の勤務先とどちらで是正するか』の聞き取りを行わなければなりません。現場の労務担当からすれば二度手間の極みであり、掛け持ちしている事実が会社全体に知れ渡る瞬間でもあります」
実際にバイト掛け持ち両方提出の真相を検証すると、以下のような実害が発生します。
- 会社への副業発覚:是正通知は個人宛てではなく「事業所」宛てに送達されるため、双方の会社に重複申告の事実が通知される。
- 追徴課税の発生:重複して適用された控除分が取り消され、不足分の所得税に加えて「延滞税」が加算されるリスクがある。
- 社内信用の失墜:就業規則で副業が制限されている場合、労務上の規律違反として懲戒の対象になり得る。
「知らなかった」「悪気はなかった」という弁明は、税法上の過少申告に対しては一切通用しません。年末調整の書類は、絶対に1つの職場にしか出してはならないのです。