大手美容クリニックへの取材や、Yahoo!知恵袋・SNSに投稿された数千件のリアルな書き込みを精査すると、「実寸は平均値以内であるにもかかわらず、自分は顔が大きいと思い詰めている」ケースが圧倒的多数を占めています。取材に応じた美容医療の現場スタッフは次のように証言します。
「カウンセリングに来られる患者様のうち、実際に骨格上の全頭高が統計平均を逸脱して大きいケースは2割にも満ちません。残りの8割は、スマートフォンのカメラによる歪みや、首・肩周りのバランス、あるいは極端な美容系インフルエンサーの加工画像を見慣れたことによる認知の歪みが原因です」
最大の元凶は、スマートフォンのインカメラが持つ特性です。日常的に使われるスマートフォンの前面カメラは焦点距離が24〜28mm相当の広角レンズが採用されています。至近距離(30〜40cm)で自撮りを行うと、カメラに近い鼻や顎の中央部分が不自然に肥大化し、遠近感が極端に強調されるパースペクティブ歪みが発生します。結果として、鏡で見るよりも顔が縦に間延びし、大きく映し出されてしまうのです。
さらに、人間関係の現場でも錯覚が生じます。「友人との集合写真で自分だけ顔が巨大に見えた」という悩みの多くは、エビングハウス錯視に似た対比効果です。隣に立つ人物の肩幅が広い場合、その人の顔は相対的に引き締まって見えます。逆に、自分がなで肩であったり首が前に突き出るスマホ首(ストレートネック)になっていると、顔が前方に突き出して強調され、実寸以上に顔全体が膨張して視覚認識されるという物理的な罠が存在します。