酸熱トリートメントの登場は、かつてトリートメント業界に革命をもたらしました。主成分であるグリオキシル酸などが毛髪のアミノ基と反応し、仕上げのアイロン熱によって「イミノ結合」と呼ばれる強固な架橋を形成。ダメージホールでスカスカになった毛髪内部を引き締め、鏡のような艶としなやかなハリを取り戻す効果をもたらします。
しかし、ネット上の口コミ評判や現場の証言を精査すると、美辞麗句ばかりではありません。都内激戦区のサロン店長は、顧客の期待値とのズレを次のように打ち明けます。
「カウンセリングで『酸熱トリートメントをすれば縮毛矯正をやめられますか?』と尋ねられる機会が非常に多いのですが、明確に否定せざるを得ません。酸熱トリートメント効果と持続期間は、健康毛や軽微なパサつき毛で概ね3週間から最長でも1ヶ月半程度。回数を重ねることで定着が良くなると言われますが、毛髪の結合そのものを変形させているわけではないため、水分を含めば元のうねりが再び現れます。」
さらに見過ごせないのが、髪質改善デメリットと後悔する理由の上位に挙がる「酸の過剰収斂(しゅうれん)による硬化現象」です。酸熱トリートメントを短いスパンで繰り返したり、技術者の塗布技術や熱置きの時間が不適切だったりすると、毛髪が硬化して針金のようになり、毛先がバサバサにちぎれるトラブルが報告されています。「痛まない魔法のストレート」と錯覚して受けた結果、修復困難なダメージを負ってしまうリスクは決してゼロではありません。