野球のオープナーとは?先発が1回で降りる理由と日本球界の現在

野球のオープナーとは?先発が1回で降りる理由と日本球界の現在

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「野球オープナーの意味」を一言で定義するなら、本来は中継ぎや抑えを務める投手が名目上の先発として登板し、1〜2イニングの強力な上位打線(1〜3番)を全力で抑えた後、本来のロングリリーフへバトンを繋ぐ起用法を指します。野球の試合において最も得点期待値が高く、かつ初回特有の立ち上がりの不安定さを突かれやすい「1回の攻防」を、トップギアのリリーフ投手によって無失点で切り抜けることが最大の目的です。

この戦術の始祖となったのが、米大リーグ(MLB)のタンパベイ・レイズです。資金力に乏しいスモールマーケットのレイズを率いていたケビン・キャッシュ監督は、2018年5月19日のロサンゼルス・エンゼルス戦で、実績ある救援右腕セルジオ・ロモをあえて先発マウンドに送り込みました。試合開始直後、ロモは大谷翔平を含む上位打線を3奪三振で完璧に抑え、2回からは左腕のライアン・ヤーブローが登板して好投。レイズはこの実験的試みから驚異的な白星を積み重ね、瞬く間に球界全体のトレンドへと押し上げました。

オープナー誕生の根底には、セイバーメトリクスが暴き出した冷徹な統計データがあります。それが「TTOP(Times Through the Order Penalty:打順巡りペナルティ)」です。膨大なトラッキングデータによると、同一の投手が同じ打者と対戦する場合、1巡目に比べて3巡目の被OPS(出塁率+長打率)は約30〜50ポイント跳ね上がります。打者が投手の球種や球筋に慣れること、そして投手の球速やキレが疲労で低下することが原因です。

オープナーを1回に挟むことで、2回から登板するメインの投手は、試合中盤の5回や6回を迎えても相手上位打線と「2度目の対戦」で済む計算になります。投手の能力を物理的・統計学的に限界まで絞り出す戦術、それがオープナーの本質です。

橋本 菜々子
著者

橋本 菜々子

グルメと旅を愛するフリーライター。全国各地の隠れた魅力を独自の視点から紹介します。