国民的映画シリーズの主役を引き継ぐ――それは日本のエンターテインメント界において、最もプレッシャーのかかる挑戦の一つでした。松竹映画として全22作が公開され、西田敏行と三國連太郎のコンビで日本中のお茶の間を沸かせた『釣りバカ日誌』。2015年、テレビ東京が「金曜8時のドラマ」枠の目玉として連続ドラマ化を発表した際、業界内には少なからず懐疑的な見方もありました。
しかし、その不安を瞬時に期待へと変えたのが、「西田敏行がスーさん(鈴木一之助役)を演じ、新入社員の浜崎伝助を濱田岳が演じる」という逆転の発想でした。制作陣や関係者が明かしたキャスティングの経緯によると、この前代未聞のシフトを快諾した西田さんは、濱田岳の卓越したコメディセンスと、哀愁を帯びた愛嬌を以前から高く評価していたといいます。
濱田岳が挑んだのは、原作コミックの初期設定である「鈴木建設に入社したばかりの新入社員」という原点でした。映画版の完成されたハマちゃんを真似るのではなく、まだ社会の不条理に揉まれる前の、純粋無垢でどこか危なっかしい青年像を構築。このアプローチが功を奏し、長年のファンだけでなく、映画版をリアルタイムで観ていない20代や30代の若年層をも急速に惹きつけることになりました。