合格者たちが一様に「人生で最も精神を削られた」と振り返るのが、司法書士筆記試験と口述試験対策の過酷な道のりです。特に7月の筆記試験当日は、まさに知力と体力の極限レースとなります。
「午前の部が終わった瞬間、周囲から深いため息が漏れました。基準点を超えているかどうかのプレッシャーで、昼休みに喉を通るのはゼリー飲料だけ。午後の部では、70問の択一問題を猛スピードで解き終えたあと、残り1時間強で白紙の登記申請書を2件書き上げる必要があります。答案用紙をめくる手が震え、最後の1分までシャーペンを走らせ続けました」(2025年度合格者・30代元会社員の手記より)
午後の記述式試験では、不動産登記法と商業登記法からそれぞれ大問が出題されます。提示される膨大な契約書や議事録、聴取記録などの添付書類を正確に読み取り、法律上の登記事由を瞬時に判断して枠の中に記載しなければなりません。もし1箇所でも実質的な判断ミス(いわゆる「枠ズレ」)を犯せば、その大問の配点がほぼゼロになり、それまでの努力が水泡に帰すという凄まじい緊張感が漂います。
一方で、筆記試験合格者を対象に秋に行われる口述試験は、例年99%以上の合格率を誇ります。試験官と対面して基本条文や倫理について問われる形式ですが、実質的には落とすための試験ではなく、司法書士としての適性を確認する儀礼的な意味合いが強いとされています。ただし、完全な無対策で臨んで返答に窮した場合、稀に不合格となるケースもあるため、直前に対策本や予備校の模擬口述を受けておくのが鉄則です。