ネット上の簡易Tips記事には、時に現場を混乱に陥れる不正確な情報や、重大なデメリットを伏せた解説が散見されます。特に注意すべき典型的な誤解を3点指摘します。
第一の誤解は、「アポストロフィ(')を付ければ手軽で問題ない」という主張です。個人で一度きり印刷して破棄するメモ程度なら害はありませんが、共有ワークブックでは厳禁です。他のメンバーがその列をVLOOKUPで参照した際、数値型と文字列型の不一致により「#N/A」エラーが頻発し、原因究明に何時間も浪費される事態を招きます。
第二の誤解は、「色の変更はすべて条件付き書式に任せるべき」という思い込みです。数千行〜数万行におよぶビッグデータシートに対して無計画に大量の条件付き書式を適用すると、ブックのファイルサイズが肥大化し、スクロールや再計算が著しく遅延する原因になります。文字色の変更だけであれば、ユーザー定義書式コード([青]、[赤]など)で処理した方がシートの動作は圧倒的に軽快です。
第三の誤解は、「ユーザー定義で表示された記号はコピー先にもそのまま貼り付く」という錯覚です。表示形式で付与した「+」や「▲」は、数式バーを見れば分かる通り、実際の値(値データ)には存在しません。そのため、他のシステム(基幹ERPやWebデータベース)にCSV形式でエクスポートする際、表示形式の「+」は抜け落ちて生の数値だけが出力されます。外部システム連携を前提とする帳票では、TEXT関数等で意図的に文字列化して出力する設計が必要になります。