フッ化水素は、化学式HFで表される水素とフッ素の無機化合物です。常温・常圧下では刺激臭を持つ無色の気体、あるいは揮発性の高い液体(沸点約19.5℃)として存在します。分子同士が強い水素結合で結びついているため、分子量の割に沸点が高い特異な物性を持ちます。
一般によく混同されるのが「フッ化水素」と「フッ化水素酸(フッ酸)」の違いです。気体または純粋な液体状態の化合物を「フッ化水素(無水フッ化水素)」と呼ぶのに対し、これを水に溶解させた水溶液を「フッ化水素酸(フッ酸)」と呼びます。産業用途においては、気体状のドライエッチング用ガス、水溶液としての洗浄液やウェットエッチング液など、状態を使い分けて活用されています。
また、フッ化水素の最大の特徴の一つに「ガラス(二酸化ケイ素:SiO2)を激しく腐食・溶解する性質」があります。多くの強酸(塩酸や硫酸など)がガラス容器で保存できるのに対し、フッ化水素はガラス成分と反応して気体の四フッ化ケイ素(SiF4)やヘキサフルオロケイ酸(H2SiF6)を生成し、ガラスを溶かしてしまいます。そのため、保管や輸送にはポリエチレンやフッ素樹脂(テフロン)、あるいは特殊合金の専用容器が用いられます。