数々の男たちに裏切られ、命がけで愛した龍からも拒絶された松子は、ついに生きる気力を完全に喪失します。荒川沿いの古びたアパートに引きこもり、ゴミ屋敷の中で大好物の菓子パンや酒を貪り、アイドルグループ「光GENJI」の赤坂晃へファンレターを書き続けるだけの生活に堕ちていきました。
体重は激増し、髪はボサボサ、近隣住民からは「ゴミ屋敷のババア」と罵られ、石を投げられる日々。精神的にも完全に崩壊していた松子ですが、病院で偶然かつての親友・めぐみと再会します。めぐみから「うちの美容室で働かない?」と渡された名刺を一度は川へ投げ捨てるものの、夜空に浮かぶ星を見上げた瞬間、松子の心に「もう一度やり直そう」という最後の生きる希望が灯ります。
夜の荒川河川敷へ名刺を探しに戻った松子。その希望に満ちた瞬間を切り裂いたのが、深夜の公園にたむろしていた中学生グループによる無差別な暴力でした。「夜遅くにこんな所で何してるの、家に帰りなさい」と教師時代の口調で優しく注意した松子に対し、中学生たちは逆上。持っていた金属バットで松子の頭部を滅多打ちにし、そのまま放置して逃走したのです。
犯人の正体は、松子の壮絶な過去も、いま掴みかけた再生への決意も何一つ知らない、単なる非行少年たちによる理不尽な衝動的暴力でした。あまりにも救いのない結末ですが、映画版のラストでは、息絶えた松子の魂が幼い頃の美しい姿へと戻り、妹・久美が待つ天国の階段を「ただいま」と微笑みながら登っていく姿が描かれます。