沖縄のスポーツ文化や武道振興において、見落とされがちな盲点が存在します。それは「豊見城市に沖縄空手会館が完成したことで、県立武道館の空手利用は衰退したのではないか」という誤認です。
確かに2017年にオープンした沖縄空手会館は、伝統空手の保存・継承に特化した素晴らしい施設であり、世界中から門下生が集まる総本山として機能しています。しかし、観客席の規模やトーナメントを同時進行できるコート数という点では、沖縄県立武道館が誇るアリーナのスケールには遠く及びません。数百名規模の選手が一同に会するインターハイ県予選や全九州大会、国際規模のオープントーナメントにおいては、現在も沖縄県立武道館が唯一無二のメインステージとして選定されています。
もう一つの盲点は、「武道館だから一般人は入りにくい」という心理的ハードルです。実際には、館内のトレーニング室や軽運動スペースは年齢・経験を問わず広く市民に開かれており、指導員による初心者講習なども定期的に実施されています。武道の格式高いイメージが先行するあまり、日常的なフィットネス拠点としての恩恵を見落としている市民が少なくない点は、非常にもったいない現状といえます。