The ROOTLESSの栄光と没落、そしてその後の事件を人間心理と組織論の観点から総括すると、現代の表現者やその支援者にとって極めて重い教訓が浮かび上がります。
野畑慎が知人の善意を裏切ってギターを盗んだ背景には、心理学で言う「共依存関係」と「イネーブラー(支え手)」の罠が存在します。知人男性は「才能ある友人を救いたい」という純粋な善意から衣食住を提供しましたが、ギャンブル依存症という精神医学的な疾患を抱えた人間に対して無条件の経済的シェルターを提供することは、結果として依存行為を温存・悪化させる環境を作ってしまいました。依存症からの立ち直りには、情義による甘やかしではなく、厳格な「心理的バウンダリー(境界線)」の設定と専門機関による臨床的治療が不可欠だったのです。
この教訓から導き出される「再起を支えるべき人・慎重に関わるべき境界線」の判断基準は極めて明確です。
- 支援を継続すべきケース:過去の過ちや依存対象を客観的に認識し、医療機関や自助グループに通いながら、自立に向けた具体的・金銭的な自助努力を継続している人物。
- 距離を置くべきケース:「夢をもう一度」「音楽で返す」といった抽象的な美辞麗句を並べ、生活費や依存資金の工面を他者に委ねようとする甘えが見られる人物。
ファンが抱き続ける「The ROOTLESSの再結成の可能性」についても、結論を下さざるを得ません。ギタリストDuranをはじめとする他メンバーとの人間的・契約的溝はあまりにも深く、すでに音楽的キャリアのステージが大きく乖離しています。公式な再結成プロジェクトが立ち上がる可能性は、現実的にはほぼゼロと断言できます。