隠密としての潜入・変装能力だけでなく、純粋な戦闘員としてのるろ剣 般若 強さも極めて高い水準にありました。剣心との直接対決で見せた独特の体術は、剣客である剣心を一歩間違えれば死に至らしめるほどに追い詰めています。
般若の戦闘スタイルは、身軽さを活かした変幻自在の拳闘術(打撃技)ですが、剣心を最も狼狽させたのが般若 腕が伸びる トリックでした。一見すると常人と同じリーチに見える打撃が、踏み込み以上の距離まで突如として届き、相手の顔面や急所を的確に破壊する現象です。剣心は最初、関節を外して腕を伸ばす軟体術の一種かと推測しましたが、真相は緻密に計算された「視覚の錯覚(オプティカル・イリュージョン)」でした。
般若が着用していた衣装の腕部分には、特殊な太さの横縞(ボーダー)模様が緻密に描かれていました。人間の脳は、縦縞を長く、横縞を短く太く認識する錯視効果を持っています。般若はこの心理的・視覚的盲点を突き、相手の脳に「リーチが短い」と誤認させ、実際の間合いよりも手前で安心した相手の意識の外からストレートを叩き込んでいたのです。さらに、腕の縞模様だけでなく、足元にも同様の錯視を施すことで歩幅すら誤認させる徹底ぶりでした。
科学的知見と心理戦を組み合わせたこの戦術は、幕末の裏社会を暗躍した御庭番衆ならではの実戦思想です。トリックを剣心に見破られた後も、鋼鉄をも砕く手甲を使った防御と強烈なインファイトで対等近く渡り合っており、単なるからくり頼みではない基礎身体能力の高さが際立っていました。