自律神経失調症が進行すると、単なる喉の違和感にとどまらず、固形物を飲み込みづらくなったり、息苦しさを併発したりする事例が少なくありません。医療機関の統計でも、嚥下障害を自覚する背景疾患として、脳血管障害や食道疾患と並び、自律神経失調症が挙げられています。
人間が食べ物や水分を飲み込む動作(嚥下)は、口の中で咀嚼する随意的な動作と、咽頭から食道、胃へと送り込む不随意な反射運動が複雑に連動しています。この後半の反射をコントロールしているのが自律神経です。自律神経は、意識して動かせない内臓や血管、そして喉から食道にかけての平滑筋(へいかつきん)を24時間体制で調整しています。
過度な緊張や不安が継続すると、交感神経の緊張から唾液の分泌量が激減し、口内や喉が乾燥する「ドライマウス」を引き起こします。滑らかな嚥下を助ける唾液が不足することで物理的に摩擦が増え、食道へ送り込むプロセスがスムーズにいかなくなります。同時に、食道上部の筋肉が痙攣性の収縮を起こすため、「食道に何かがつっかえている」「喉の奥が狭くて息が吸いにくい」といった息苦しさを伴う症状へと発展します。