客室のドアを開けた瞬間に広がるのは、無駄を削ぎ落としたモダンな和の美学だ。何より特筆すべきは、全35室すべてに備え付けられた自家源泉の露天風呂。湯船に張られた温泉は、竹の配管を通ってなめらかに注がれ、肌に触れた瞬間にまろやかな温もりが全身を包み込む。テラスのチェアーに身をゆだねれば、眼下を流れる須雲川のせせらぎがBGMとなり、時間という概念すらあやふやになっていく。
部屋ごとに微妙に異なる間取りや家具の配置も魅力だ。露天風呂から直接ベッドルームへと続く動線は極めてスムーズで、湯上がりの余韻をそのまま滑らかなシーツの上で味わうことができる。静寂の中で深呼吸を繰り返すだけで、日々の疲労が湯気とともに空へと消えていくような感覚を覚えるはずだ。