インターネット上のQ&Aサイトや動画コンテンツでは、「初心者は指先が痛くならずストロークが楽な極薄(Thin:0.5mm以下)のピックから始めるべき」という言説がまことしやかに語られています。しかし、多くのギター講師やプロ奏者はこの意見に警鐘を鳴らしています。
極薄ピックは、確かに適当に振り抜いてもピックが勝手に大きくしなってくれるため、引っかからずにジャカジャカと鳴らすことができます。しかしこれには「脱力の感覚が育たない」という致命的な落とし穴が存在します。ピックが過剰にしなることで、弦から指先に返ってくる反発感(タッチの感触)が極めて希薄になります。その結果、本来覚えるべき「手首のスナップで衝撃を逃すテクニック」を習得できず、指先に無駄な力を込めてピックを握りしめる悪癖が定着してしまうのです。
さらに、極薄ピックは単音ピッキングのコントロールが極めて難しくなります。弦を1本だけ狙って弾こうとしても、ピックがペラペラと逃げてしまい、芯のある音が出せません。結果として「ストロークは弾けるがソロやフレーズになると途端にリズムが狂う」という壁にぶち当たることになります。
最初から極端に薄いものや分厚いものを選ぶのではなく、適度なコシと反発感のある「0.7mm〜0.8mm前後のミディアム」からスタートすることこそが、長期的に見てピッキングフォームを最も早く安定させる王道のアプローチです。