ヤマビルの被害で最も多くの人々を苦しめるのが、吸血後2〜3日目から本格化する「遅発性の猛烈な痒み」と、数ヶ月から数年にわたって皮膚に残る「赤黒い噛み跡(色素沈着)」です。
ヒルが注入した微量のタンパク質に対してアレルギー反応が起きると、患部が硬くしこり状に盛り上がり、蚊の比ではない激しい痒みが数週間続くことがあります。ここで絶対に避けなければならないのが「爪を立てて掻きむしること」です。掻き壊して表皮を破ると、メラノサイトが活性化して炎症後色素沈着(PIH)が定着し、シミのような痕が消えなくなります。
【市販薬の選び方とケア方法】
一般的な清涼感メインのかゆみ止めでは炎症を鎮火できません。薬局・ドラッグストアでは、「フルオシノロンアセトニド」や「プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル(PVA)」などのストロング〜ミディアムクラスのステロイド成分に、抗ヒスタミン剤(クロルフェニラミン等)が配合された市販薬を選択してください。患部にすり込まず、厚めに乗せてガーゼで保護するのがコツです。
【病院に行くべき目安と診療科】
受診すべき診療科は「皮膚科」です。以下のような症状が現れた場合は、我慢せずに医療機関を受診してください。
- 出血が6時間以上経過しても全く止まる気配がない場合
- 噛まれた部位を中心に手のひらサイズ以上の熱感・発赤・激しい腫れが広がっている場合(蜂窩織炎の疑い)
- 傷口から黄色い膿(うみ)が出て悪臭を放っている場合
- 発熱、悪寒、足の付け根(鼠径部)などリンパ節の腫れ・痛みを感じる場合
皮膚科では、医療用の強力なステロイド外用薬や抗アレルギー内服薬、場合によっては抗生物質が処方され、短期間で炎症を沈静化させて傷跡を最小限に抑えることが可能です。