鎧塚氏の私生活を語るうえで避けて通れないのが、亡き妻・川島なお美さんが遺したとされる言葉です。テレビの追悼特番や手記で明かされたエピソードとして、なお美さんが病床で鎧塚氏に伝えた「できれば再婚しないでね」という言葉が広く知られています。
この言葉だけを切り取ると、妻側の強い束縛のように受け取られがちですが、実際の手紙には「一緒のお墓に入りたいから」という純粋で深い夫婦愛が綴られていました。鎧塚氏自身もインタビューにおいて、この言葉を重荷としてではなく、最期まで自分を夫として愛し抜いてくれた証として温かく受け止めていることを明かしています。
現在も神奈川県小田原市にある「一夜城 ヨロイヅカファーム」には川島なお美さんの記念碑が佇み、毎年9月の命日や11月の誕生日には、親しい仲間やファンが集う追悼イベントが催されています。鎧塚氏が再婚を選ばない最大の理由は、外的な圧力ではなく、なお美さんと過ごした濃密な時間への充足感と、生涯をかけたパティシエとしての使命感にあると言えます。