ネット上のレシピレビューや知恵袋などで散見される「味が濃すぎて食べられなかった」「身がボロボロに崩れてしまった」という失敗談。その原因を突き詰めると、レシピの手順以前に「生たら」と「塩たら」の使い分けミスにあります。
店頭に並ぶ切り身には、加工段階で塩分が加えられていない「真だら(生)」と、塩漬けにされて水分が適度に抜けている「塩だら(甘口・辛口)」が存在します。これらを同一に扱い、塩だらに通常の分量通りの醤油や塩を加えてしまうと、塩分過多で料理が台無しになります。逆に、生たらを水抜きせずにスープやホイル焼きに使うと、生臭いドリップが全体に染み出してしまいます。
調理科学の観点から導き出された、失敗を防ぐためのたらの臭み取り下処理の手順は以下の3ステップです。
- 浸透圧によるドリップ排出:生たらの両面に重量の約1%(小さじ1/3程度)の塩を均等に振り、バットの上で10分から15分放置します。魚の臭み成分である「トリメチルアミン」が浸透圧によって水分ごと表面へ浮き上がってきます。
- 徹底した水分の拭き取り:浮き出たドリップをキッチンペーパーで上から優しく押さえるように拭き取ります。ここで水洗いしてしまうと再度身が水っぽくなるため、ペーパーで丁寧に拭うのが鉄則です。
- 酒による風味コーティング:さらに完璧を期すなら、料理酒を小さじ1振りかけて3分置き、再度ペーパーで拭き取ります。アルコールが揮発する際に、残存する微量な臭気成分を一緒に抱え込んで蒸発させてくれます。
このわずか15分の下準備を挟むだけで、仕上がりのふっくら感と上品な旨味は劇的に跳ね上がります。特にムニエルやフライを作る際、余分な水分が抜けていることで油ハネが劇的に減るという実用的なメリットも見逃せません。