キムタクのボナペティは幻か?グランメゾン東京とパリの真相解剖

キムタクのボナペティは幻か?グランメゾン東京とパリの真相解剖

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ここで、検証すべき最大の論点に切り込みます。「木村拓哉 グランメゾン東京」の劇中で、尾花夏樹は本当に「ボナペティ」と発言したのでしょうか。制作関係者の証言や脚本の記録を精査すると、驚くべき事実が浮き彫りになります。実は、2019年の連続ドラマ版全11話の中で、尾花夏樹が客席に向かって「ボナペティ」と明瞭に発言したシーンは一度も存在しません。

連続ドラマにおける尾花の象徴的な仕草といえば、料理を口にした際に目を閉じて斜め上を向く「天を仰ぐポーズ」であり、名言として記憶されているのは「グランメゾン東京、始めます」「三ツ星を獲らせてやる」といった無骨な日本語でした。では、なぜ「ボナペティ」が元ネタとしてこれほど定着したのでしょうか。その背景には、3つの記憶の重なりが存在します。

第1に、国民的番組『SMAP×SMAP』の看板コーナー『BISTRO SMAP』の残像です。中居正広による「オーダー!」の合図に対し、木村拓哉らが「ウィ、シェフ!」と返す光景は、20年以上にわたり日本人の脳裏に刷り込まれました。このフレンチ用語の記憶が、ドラマの本格的な料理シーンと結びつきました。

第2に、お笑い芸人やモノマネタレントによるパロディの影響です。「木村拓哉の料理シーン」をデフォルメする際、いかにもキムタクが言いそうな言葉として「ボナペティ」とウインクを添えるネタがバラエティ番組で流通し、それが本人の公式な発言であるかのように錯覚されました。

第3に、映画『グランメゾン・パリ』における実際のフランス語シーンの存在です。パリの本場レストランを舞台にした劇場版では、木村拓哉が現地スタッフと全編フランス語で渡り合う緊迫の厨房シーンが描かれ、そこで交わされるリアルなフランス語のセリフが、ドラマ版の記憶を上書きする形で「キムタク=ボナペティ」という認識を決定づけました。

山下 哲也
著者

山下 哲也

デジタルガジェットとスマート家電の検証記事を多数執筆。失敗しないモノ選びを提案します。