激痛のあまり動けないとき、「接骨院に行くべきか、整体か、それとも病院か」と迷う読者は非常に多く見られます。ぎっくり腰は何科に行くべきか整形外科一択である理由を明確にしておかなければなりません。
接骨院(整骨院)や鍼灸院、民間の整体院では、レントゲン撮影やMRI検査、血液検査を行えません。ぎっくり腰と一口に言っても、背骨の圧迫骨折、椎間板ヘルニア、化膿性脊椎炎、さらには解離性大動脈瘤や尿路結石といった内科的・血管系の致死性疾患が腰痛として現れているケースが少なからず存在します。正確な鑑別診断と、消炎鎮痛薬の処方やブロック注射による確実な疼痛管理を行えるのは、医師が常駐する整形外科だけです。
さらに深刻なのは、ぎっくり腰救急車を呼ぶ判断基準です。「腰が痛いだけで119番通報してよいのか」と躊躇する人は多いですが、以下の「危険な赤信号(レッドフラッグ)」が一つでも当てはまる場合は、命やその後の運動機能に関わるため、躊躇せず救急車を呼ぶ必要があります。
- 膀胱直腸障害:尿が出ない(尿閉)、尿意を感じない、あるいは便失禁してしまう。
- サドル麻痺:会陰部やお尻のまわり、太ももの内側の感覚が完全に麻痺している。
- 進行性の運動麻痺:足首が上へ上がらない(下垂足)、スリッパが脱げてしまう、立ち上がると膝折れする。
- 安静時痛・発熱:じっと横になっていても激痛が拍動して収まらない、38度以上の高熱を伴う。
特に排尿障害やサドル麻痺を伴う状態は「馬尾症候群(Cauda Equina Syndrome)」と呼ばれ、腰椎部で太い神経束が圧迫されている緊急事態です。発症から48時間以内に緊急手術を行わなければ、生涯にわたって排泄機能や歩行機能に不可逆的な後遺症を残す恐れがあります。
ぎっくり腰が治るまでの期間と経過については、危険な疾患が除外された一般的な急性腰痛症であれば、発症後2〜3日をピークとして痛みが和らぎ、1〜2週間で約8割の人が日常生活に支障のないレベルまで回復します。焦らずに段階を踏んで活動量を戻す姿勢が求められます。