本作を語る上で欠かせないのが、昭和の音楽界を牽引した作詞家・星野哲郎と作曲家・叶弦大の存在です。
数多くの演歌・歌謡曲の名作を遺した星野哲郎は、酒場を行き交う名もなき人々の機微を描く天才でした。星野は実在する歓楽街の空気感を取材し、女性の孤独や未練を短編小説のような凝縮された言葉で表現。これに対し、叶弦大は演歌の定型に縛られないモダンで哀切漂うメロディラインを構築しました。
短調(マイナーコード)を基調としながらも、サビに向けてエモーショナルに盛り上がる旋律は、聴く者の胸を強く締め付けます。二人の卓越したクリエイターの技巧が合致したからこそ、時代を超えて愛される不朽のマスターピースが完成したのです。