心理学者スイスのユングは、人生の半ばを「人生の正午」と呼び、前半生の価値観から後半生の価値観への大転換期と位置づけた。これは精神疾患というよりも、生物学的・心理学的な脱皮のプロセスに近い。
脳科学の視点で見ても、40代以降はドーパミンを中心とした報酬系の働きに変化が生じる。かつて目標達成や昇進で得られていた強烈な快感が薄れ、同じ刺激では心が満たされなくなる。つまり、脳自体が「これまでの戦い方は終了した」というシグナルを発している状態と言える。この変化を受け入れられず、過去の栄光や従来の成功体験にしがみつくほど、葛藤の泥沼は深まっていく。