撮影隊が最初に向かったのは、夜間も煌々と明かりが灯る東京都心の繁華街だった。真夜中のオフィス街を封鎖して行われたカーチェイスシーンの臨場感は圧巻の一言。過密な都市空間ならではの息苦しさとスピード感が、スクリーンの端々から漂い出す。
しかし、本作の本当の凄みはそこからだ。カメラは一転して茨城県土浦市へと向かう。霞ヶ浦の静かな水面、ノスタルジックな雰囲気を残す旧市街、入り組んだ細い路地。東京都の冷徹なコンクリートジャングルから逃れ着いた先で見せる土浦の景観は、登場人物たちの孤独と切なさを強烈に際立たせる。緻密に計算されたロケーション撮影が、物語の歪んだ美しさを極限まで高めているのだ。