世界遺産の認定を担う国際連合教育科学文化機関(ユネスコ)の最高責任者であるオードリー・アズレイ事務局長は、組織改革と偏りの是正を強く打ち出してきた。長年指摘されてきた「欧州偏重」の是正と、アフリカや小島嶼国(しょうとうしょこく)などの未反映地域の支援は、現在の世界遺産委員会における最優先事項のひとつだ。
毎年開催される世界遺産委員会の審議会場は、事実上の外交戦術の場と化している。ある物件が登録されるか否かは、各国の推薦枠の調整や加盟国間の支持取り付け、さらには気候変動対策への国際的な約束事とも密接に絡み合う。制度の発足から半世紀が経過し、世界遺産は地球規模の政治動向を映し出す鏡としての性格を強めている。