今すぐこの悪臭をどうにかしたい——そうした切迫した場面でSNSを中心に話題を呼んでいるのが、「窓を全開にして16度で冷房運転を行う」という手法です。一見すると無謀な電気の無駄遣いに思えるこの方法ですが、実は熱力学に基づいた合理的な根拠が存在します。
エアコンが臭い時に16度冷房を行う理由は、熱交換器の表面に限界まで結露水を発生させ、アルミフィンの隙間にこびりついたニオイ成分を水で一気に洗い流す「セルフ水洗い現象」を引き起こす点にあります。設定温度を最低の16度に固定し、窓を開けて外の湿った空気を大量に取り込むことで、短時間で結露水が大量に発生。これが汚れを包み込み、ドレンホースを伝って屋外へ排出されます。大手空調メーカーの実験でも、1時間の運転によってフィン表面の親水性皮膜から水溶性の異臭物質が大幅に減少することが確認されています。
ただし、この裏ワザには大きな盲点があります。洗い流した後に内部が湿ったまま放置されれば、数日後にはさらに強力なカビの温床と化してしまう点です。そこで不可欠となるのが、仕上げのエアコン送風運転による消臭効果です。冷房運転終了後、最低でも2時間の送風(または送風モードがない機種では暖房30度設定)を行うことで、内部の水分を完全に蒸発させ、菌の再活性化を封じ込めることができます。緊急処置としての16度冷房と、その後の完全乾燥はセットで行わなければ意味がありません。