塩竈みなと祭が全国に誇る最大の魅力は、神聖な神事としての荘厳さと圧倒的なスケール感です。主役を務めるのは、東北の総鎮守として名高い鹽竈神社 志波彦神社 神輿渡御です。
本祭の朝、鹽竈神社の境内には張り詰めた緊張感が漂います。重量約1トンにも及ぶ漆黒の神輿を担ぎ手たちが担ぎ上げ、傾斜約30度・202段の急峻な石段「表坂(表参道)」を一気に下る「御坂下り(おさかくだり)」が行われます。一歩足を踏み外せば大事故につながりかねない極限状態のなか、一糸乱れぬ足並みで階段を下りていく光景は息をのむ大迫力です。
市内を巡行した神輿は塩釜港へと到着し、いよいよ祭りの頂点である海上渡御へと移ります。ここで登場するのが、神霊を乗せる特別な塩竈みなと祭 御座船 鳳凰丸 龍鳳丸です。
- 鳳凰丸(ほうおうまる):鹽竈神社の御神輿を奉安。船首に黄金色に輝く巨大な鳳凰の頭部を冠し、優美で気品に満ちた佇まいを誇ります。
- 龍鳳丸(りゅうほうまる):志波彦神社の御神輿を奉安。勇壮な龍の頭部を冠し、荒波を切り拓く力強さを象徴しています。
大漁旗や五色幕で絢爛豪華に飾り立てられた約100隻の供奉船(お供船)が二隻の御座船を取り囲み、太鼓と笛の音、そして「エンヤラーエ」の威勢の良い掛け声とともに松島湾を巡幸します。青い海と緑の島々、そして極彩色の船団が織りなすコントラストは、まさに生きた日本の伝統絵巻そのものです。夕刻、港に戻った神輿が再び202段の石段を登り切る「御坂登り」で、祭りは最高潮の感動とともに幕を閉じます。