岡崎の平安神宮近く、ほぼ隣り合う位置に店を構える「山元麺蔵」と「京うどん 岡北」。京都のうどん界を牽引し続けるこの二大巨頭は、提供する一杯の思想も混雑対策のアプローチも全く異なります。
まず山元麺蔵です。かつて数時間の路上行列が名物となっていましたが、現在は近隣環境への配慮と顧客満足度の向上を目的として、朝9時からの当日専用ダイヤルによる電話受付システムが定着しています。指定された時間枠に来店する形式のため、店頭での実際の待機時間は15分から30分程度に抑制されています。ただし、朝の予約電話は回線が極めて混雑し、休日はわずか10〜20分程度で終日分の枠が埋まる争奪戦が日常です。ここで提供される麺は、店主が香川で修行を重ねつつ京都の感性を融合させた「艶やかで押し返すような弾力」を持つ独自配合。牛ホルモンの旨味を溶かし込んだつけ麺や、揚げたての土ゴボウ天は一度食べれば脳裏から離れません。
対する京うどん 岡北は、予約制を取らず、当日店頭での整列入場を守り続けています。そのため岡北うどん行列状況は、週末ともなれば開店前から30名以上の列ができ、ピーク時には1時間半から2時間待ちに及ぶことも珍しくありません。しかし、その待機時間を経てなお訪れる者を魅了してやまないのが、名物の「天とじうどん」です。器を覆い尽くす泡のようにきめ細やかな溶き卵と、利尻昆布にサバ・ウルメ・メジカ節を絶妙にブレンドした出汁の一体感は芸術の域に達しています。数寄屋造りの洗練された店内で、職人が1杯ずつ丁寧に鍋で仕上げる様は、伝統的な京うどんの矜持そのものです。