亜鉛を意識して摂取しているにもかかわらず、体内での利用効率が落ちているケースがあります。その主因が「吸収阻害物質」の存在と、サプリメントの誤った乱用です。
吸収を阻害するフィチン酸と食品添加物(ポリリン酸)の盲点
植物性食品に含まれるフィチン酸(未精製の穀類や大豆に多く含まれる)や、加工食品・清涼飲料水・スナック菓子に結着剤や保存料として多用されるポリリン酸・リン酸塩は、小腸内で亜鉛と強力に結合し、不溶性のキレート化合物を形成します。これにより、せっかく摂取した亜鉛が小腸から吸収されず、便としてそのまま体外へ排出されてしまいます。
インスタント麺やレトルト食品、加工肉中心の偏った食生活を続けていると、食事全体の亜鉛含有量が仮に足りていたとしても、吸収阻害によって実質的な欠乏状態に陥るリスクが高まります。
亜鉛サプリメントの過剰摂取と銅欠乏症の副作用
「多く摂ればそれだけ効果が出る」という過度な期待から、高用量のサプリメントを長期連用することは極めて危険です。厚生労働省による耐容上限量は成人男性で40〜45mg/日、成人女性で35mg/日と定められています。
小腸粘膜において亜鉛と銅は共通の輸送担体(メタロチオネインなど)を介して吸収されます。そのため、過剰な亜鉛が長期間流入すると銅の吸収が競争的に阻害され、重篤な銅欠乏症(好中球減少症、小球性貧血、神経障害など)を引き起こすことが医学的に証明されています。サプリメントを利用する場合でも、食事からの摂取量を合算し、上限を超えない慎重な管理が欠かせません。