胃痛や不快感に悩まされた際、「何か栄養を摂らなければ体力が落ちてしまう」と焦り、無理に普段通りの食事やスタミナ食を詰め込む行為は回復を著しく遅らせます。日本消化器病学会のガイドラインや臨床知見でも示されている通り、胃炎や機能性胃腸障害が生じている局面では、胃粘膜の防御機構が低下し、自律神経の乱れから胃の蠕動(ぜんどう)運動が低下しています。
健康な状態であれば、胃液はpH1.5〜2.0という強力な塩酸で食物を殺菌・分解しますが、胃粘膜が荒れている時に高脂肪食や強い香辛料を摂取すると、ホルモンの一種であるガストリンが過剰分泌され、自らの胃壁を攻撃する悪循環に陥ります。
ネット上で散見される「炭酸水でゲップを出せばすっきりする」「脂っこいものを食べた直後に冷たい牛乳を飲めば胃に膜が張る」といった俗説には警戒が必要です。炭酸ガスは弱った胃壁を物理的に伸展させて痛みを誘発し、冷えた牛乳に含まれる脂質とカゼインは胃内で凝固して消化に4時間以上滞留するため、かえって胃もたれを長期化させます。胃もたれの治し方と食事を見直す第一歩は、「胃を働かせること」ではなく「徹底して胃を休ませること」にあります。