店頭で「無塩せき」と書かれたウインナーを手に取り、減塩効果を期待してカゴに入れる人は今も少なくない。漢字の「塩」という文字に引っ張られ、無塩=塩分不使用という錯覚が生まれるからだ。加工肉における「せき」とは、肉を調味液に漬け込む「硝せき(塩漬け)」を指す。つまり無塩せきとは「発色剤を使わずに塩漬けした肉」のことに他ならない。
日本の食品表示法に基づき、消費者庁が管轄するルールでは、発色剤不使用の商品にのみこの表示が認められている。さらにJAS規格(日本農林規格)でも明確な分類がなされており、従来のピンク色を保つ一般的なハムと、くすんだ茶褐色に近い無塩せき製品は明確に区分されてきた。2026年現在、誤認を防ぐための表示の見直し議論も進んでおり、消費者はパッケージの雰囲気ではなく、裏面の栄養成分表示を確認する冷静さが求められている。