「神戸市に引っ越してきたら、隣町に住む知人や実家と比べて水道代が高い」という声を耳にすることがあります。実は、神戸市水道局の請求金額は単なる水の使用量(従量料金)だけで決まるわけではありません。決定的な差を生む要因は、主にメーター口径(mm数)の違いと下水道使用料の合算、そして建物の給水方式にあります。
神戸市では、一般的な単身向けアパートで採用される「13mm」、一般的なファミリー住宅で標準的な「20mm」、二世帯住宅や一戸建てで使われる「25mm」など、口径ごとに基本料金が階段状に設定されています。口径が大きくなるほど一度に多くの水を引ける利便性がある反面、基本料金の固定費は上がります。賃貸物件を選ぶ際、水回りの設備ばかりに目が行きがちですが、図面や契約書に記載されたメーター口径の違いが毎月のランニングコストに直結しているのです。
さらに近年取り沙汰される神戸市水道局料金改定の理由には、切実なインフラ維持の課題があります。神戸市は1995年の阪神・淡路大震災で水道網に甚大な打撃を受けました。その後、全国に先駆けて地下大容量送水管の整備や基幹管路の耐震化を推進してきた経緯があります。しかし、高度経済成長期に埋設された管路の更新時期が一斉に到来している点に加え、人口減少による有収水量の低下、資材高騰や電気代の上昇が事業収支を圧迫しています。市民の安全な水を将来にわたって確保するための設備投資こそが、改定論議の背景にある根本原因です。