平和祈念像といえば、筋骨隆々とした圧倒的な肉体美が際立ちます。「プロレスラーの力道山がモデルではないか」「特定の体操選手を写し取ったのか」といった噂が長年語り継がれてきましたが、真相は異なります。
北村西望の記録や関係者の証言によると、特定の単一モデルは存在しません。西望は頑強な肉体美を具現化するため、複数の柔道家、体操選手、相撲取りなどの筋肉質な男性をアトリエに招き、部位ごとに綿密なデッサンを重ねました。
西洋彫刻の巨匠ミケランジェロに強い影響を受けていた西望は、華奢な身体ではなく、いかなる困難にも屈しない「不屈の生命力と神性」を宿す肉体を求めました。特定の人種や個人に依存しない理想の造形を追い求めた結果が、あの筋骨たくましいフォルムとして結実したのです。