デビュー当時、ビリー・アイリッシュの胸やスタイルがこれほど過熱した関心を集めた背景には、彼女が意図的に構築した「見せない美学」と、それを取り巻くメディア・大衆の好奇心とのギャップがありました。
2019年のブレイク時、彼女は蛍光グリーンの髪に身幅の広いストリートウェア、ハイブランドのセットアップという、従来の女性ポップスター像を覆すスタイルをアイコンとしていました。身体の凹凸を徹底して不可視化するファッションは、「誰も私の体に触れたり、体型について意見を言ったりできないようにするため」という強い意志に基づいていたことが、当時のブランドキャンペーン動画などで本人の口から明かされています。
しかし、隠せば隠すほどネット上では彼女の本来のプロポーションに対する詮索がエスカレートしました。私服でタイトなキャミソールを着用した姿がパパラッチされると、SNS上には驚きの声とともに無遠慮なコメントが殺到。本人の意図とは裏腹に、彼女の肉体は常にゴシップの標的となる構造が作られていたのです。
この状況に対し、彼女は沈黙するのではなく、表現によって直接的に応答しました。2020年のワールドツアーで公開されたショートフィルム『NOT MY RESPONSIBILITY(私の責任ではない)』では、服を脱ぎ捨てていく映像とともに、「私の価値はあなたの認識だけで決まるの? あなたが私に抱く意見は、私の責任ではない」という強烈なメッセージを提示し、大衆の身勝手な視線を痛烈に告発しました。