身体を男性化させる第一選択となるのが、テストステロン製剤を用いたホルモン療法です。筋肉注射によって定期的に投与を続けることで、第二次性徴のような身体変化が引き起こされます。
ホルモン注射の費用と変化に関して、通院頻度は2〜3週間に1回が基本であり、費用は自由診療で1回あたり約2,500円〜4,500円、年間では約6万〜10万円前後が相場です。投与を開始して数ヶ月から半年ほどで月経の停止、筋肉量の増加、体毛・髭の濃縮が現れます。なかでも読者の関心が高い女性から男性への声の変化は、声帯が肥厚することで投与後3〜6ヶ月頃から顕著に現れ、低音域へとシフトします。
ただし、知っておくべき極めて重要な点は「一度低くなった声や肥大したクリトリス、濃くなった毛根は、ホルモン投与を中止しても完全には元の状態に戻らない」という不可逆性です。さらに、男性ホルモン投与の副作用として以下の医学的リスクが挙げられます。
- 多血症のリスク:赤血球数が異常に増加し、血栓症や脳梗塞、心筋梗塞のリスクを引き上げるため、定期的な血液検査(ヘマトクリット値の測定)が欠かせません。
- 肝機能への負担:肝代謝を受けるため、肝酵素(AST/ALT/γ-GTP)の数値変動を注視する必要があります。
- 脂質代謝異常と皮膚トラブル:皮脂分泌が急増して重度のにきびが発生しやすくなるほか、悪玉コレステロールの上昇が見られる場合があります。
- 頭髪の菲薄化(AGA):遺伝的素因がある場合、男性型脱毛症が進行するケースも珍しくありません。
これらの変化を「望ましい男らしさ」と受け止めるか、「予期せぬ身体への負荷」と感じるかは個人差が大きいため、医師の管理下で数値をモニタリングしながら慎重に投与量を調整することが求められます。