手当の正確な金額を把握するには、「健康保険」から支給される出産手当金と、「雇用保険」から支給される育児休業給付金の算出メカニズムを明確に分ける必要があります。民間の出産手当金 計算ツールや育児休業給付金 手取りシミュレーションを活用する際も、基礎となる計算ロジックを理解していなければ入力ミスや誤解を招く原因になります。
まず、産前産後休業中に健康保険から支給される出産手当金の計算式は次の通りです。
【出産手当金の日額】= 支給開始日以前12か月間の各月の標準報酬月額を平均した額 ÷ 30日 × 3分の2
ここで使われる標準報酬月額 算出方法は、基本給に通勤手当や残業代、役職手当などを合算した報酬月額を、全50等級のテーブルに当てはめて決定されます。ボーナスなどの賞与は含まれません。
続いて、産後休業終了後の育児休業期間中に支給される育児休業給付金の計算式です。
【育児休業給付金(月額・当初180日)】= 休業開始時賃金日額 × 支給日数(原則30日) × 67%
※休業開始から181日目以降は支給率が50%に変動します。
休業開始時賃金日額は、育休開始前6か月間に支払われた賃金の総額(賞与を除く総支給額)を180で除した金額です。直前に残業代が多かった場合、その分だけ給付基礎日額が底上げされます。
額面月給(標準報酬月額)ごとの手取りシミュレーションは次の目安となります。
- 額面月給20万円(手取り約16万円):産休手当・育休当初の手当は約13.4万円/月。手取り比較でのカバー率は約84%。
- 額面月給30万円(手取り約24万円):産休手当・育休当初の手当は約20.1万円/月。手取り比較でのカバー率は約83%。
- 額面月給40万円(手取り約31.5万円):産休手当・育休当初の手当は約26.8万円/月。手取り比較でのカバー率は約85%。
手取り額が大きく落ち込まない主因は、毎月数万円引かれていた厚生年金保険料や健康保険料が産休中の社会保険料免除 手続きによって事業主・本人負担ともに0円になり、給付金自体に所得税や雇用保険料が課税されない点にあります。ただし、住民税は前年の所得に対して課税されるため、普通徴収への切り替えによる納税通知書に備える必要があります。