谷中銀座商店街の食べ歩きにおいて、不動の主役として君臨するのが揚げたて惣菜の数々です。中でも観光客の列が絶えないのが、「肉のすずき」と「肉のサトー」が誇る名物メンチカツ。両店は至近距離に位置しながら、その製法と味わいのアプローチには明確な哲学の違いが存在します。
創業昭和8年の歴史を誇る「肉のすずき」が提供する「元気メンチカツ」(税込280円前後)は、国産牛の霜降り肉と上質な豚肉を贅沢にブレンドした濃厚な旨味が特徴です。自家製ラードでカラッと揚げられた粗目の衣を噛みしめると、粗挽き玉ねぎの強い甘みと胡椒の効いた肉汁が口いっぱいに広がります。かつて精肉店としての確かな目利きから生まれたこの一品は、ビール片手に味わいたい力強い仕上がりです。
対する「肉のサトー」の名物「谷中メンチ」(税込250円前後)は、A5ランクの和牛を惜しみなく使用したジューシーで上品な脂の甘みが際立ちます。衣はきめ細かく軽やかなサクサク感で、テイクアウト後すぐに食べても重たさを感じさせません。現地での実食調査によると、肉本来のコクをガツンと楽しみたい層はすずき、口当たりの良さと和牛の香りを好む層はサトーを支持する傾向が明確に分かれています。
食べ歩きを楽しむ際は、店頭の指定イートインスペースやごみ箱の利用がルール化されています。狭い路地での歩行マナーを守りつつ、揚げたて熱々の瞬間をその場で味わうのが鉄則です。