野球ファンの間では長年、「戸郷のフォームは肘に負担がかかりやすく、いずれ故障するのではないか」「調子を崩すと立て直しが難しいのではないか」という懸念が囁かれてきました。しかし、これらの論調にはいくつかの大きな誤解が存在します。
第1に、「見た目のアーム投げ=故障しやすい」という単純な図式は当てはまりません。動作解析の専門家によると、戸郷投手は下半身の並進運動と股関節のタメが非常に深く、腕の力だけに頼らず全身の連動でボールを弾き出しています。肩甲帯の柔軟性が群を抜いているため、外見上の印象ほど関節に過剰なストレスがかかっていないことが実証されています。
第2に、過去に経験した不振と二軍降格を契機とした自己改革です。2年連続で開幕投手を務めたシーズンなどでは、勤続疲労や相手チームの研究によって2度の二軍落ちを味わう屈辱も経験しました。しかし、戸郷投手はその期間を「自身の投球を見つめ直す好機」と捉え、クイックモーションの改善や変化球のリリースポイントの微修正を徹底的に行いました。挫折を成長の糧へと昇華させる修正能力の高さこそが、息の長い一流投手の証拠です。